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help リーダーに追加 RSS 横山秀夫「ルパンの消息」(カッパ・ノベルス)

<<   作成日時 : 2006/05/07 20:39   >>

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 横山秀夫「ルパンの消息」(カッパ・ノベルス)を読了。1991年に書かれた「幻の処女作」が、改稿作業を経て上梓されたものである。
 サントリーミステリー大賞佳作とのことだが、なぜ大賞を受賞できなかったのか、なぜ今まで刊行されなかったのか。そのことが不思議なぐらいの傑作だ。

 警視庁にもたらされた一本のタレ込み情報。15年前に自殺として処理された女性教師の墜落死は、実は殺人事件だった−しかも犯人は、教え子の男子高校生3人だという。
(カバー裏表紙の粗筋紹介から)

 推理小説なので、その筋立てを詳細に説明することはもちろんできないが、所轄署幹部とサツ廻り記者との忘年会から本筋への導入もうまければ、その時点で時効成立まで残り1日という設定もうまい。読者を、一気に物語に引き込んでいくのだ。

 そして、何よりも登場人物の造形が見事だ。容疑者である3人を丁寧に描き分けており、高校時代とその15年後の変わり様が、物語の重要な伏線ともなっている。
 また、追いつめる側の捜査員像も、著者の経験から得られたものであろうか、それぞれの個性が際立っている。すべての登場人物が「生きている」のだ。

 たとえば、中盤、捜査員のひとりがホームレスに対しこんな感想を持つ。

 ここでたむろしている男たちに、型通りの脅しやすかしなど通用しない。世俗の欲望だの保身だのはとっくにどこかへ捨ててしまっているし、そもそも形ある物から逃れてきたからこそ、ここにこうしているのだ。(中略)社会から拒絶された人間たちは、しかし、それ以上のエネルギーでもって社会を拒絶している。

 考えさせる文章だが、主要な登場人物の科白ではない。しかし、実は、この小説のテーマとも関連している重要な文章なのだ。
 
 本書は、ひとりひとりの登場人物が抱える人生、愛、哀しみ、そして、二転三転するストーリー展開、謎解き。そんな「横山秀夫」の醍醐味をすべて備えている作品である。

 「ルパン」の語感が、古くささと間の抜けた感じをさせるのが少し残念だが、タイトルに惑わされずに読んでみてほしい。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
横山秀夫《ルパンの消息》
平成2年12月、警視庁にもたらされた一本のタレ込み情報。15年前に自殺として処理 ...続きを見る
人魚の涙
2006/05/10 11:51
ルパンの消息(横山秀夫)
ルパンの消息(カッパノベルス)★★★★’:75点 サントリーミステリー大賞(1991年)佳作となった横山秀夫の“幻の処女作”。約15年前の作品を改稿したとのことですが、後年の傑作群と比較すると、やはり ...続きを見る
ひろの東本西走!?
2006/05/10 22:48
『ルパンの消息』 横山秀夫 (カッパノベルズ)
ルパンの消息横山 秀夫 / 光文社(2005/05/20)Amazonランキング:128位Amazonおすすめ度:時効まで1日、失われた青春を追うAmazonで詳細を見るBooklogでレビューを見る by Booklog 帯にも書いているが横山秀夫の幻の処女作が遂にベールを脱いだ。 今は亡きサントリーミステリー大賞の佳作に入選した作品を改稿して上梓された本作。 ミステリー・兄弟愛・恋愛・青春すべての要素が詰まった期待を裏切らないエンターテイメント大作であると言えよう。 ...続きを見る
活字中毒日記!
2006/05/14 17:47
5月の読書
立花隆「イラク戦争・日本の運命・小泉の運命」(講談社) 横山秀夫「ルパンの消息」(カッパ・ノベルス) ジャネット・エンジェル「コールガール」(筑摩書房) スティーヴン・ドビンズ「死せる少女たちの家」(早川書房) 渡辺淳一「シャトウ ルージュ」(文藝春秋) ...続きを見る
本の虫
2006/06/30 09:01
読書録
本の虫 、 を楽しく読ませていただきました。また読ませていただきたいと思います。横山秀夫さんの本、初めて読んでみました。いいですよね。 ...続きを見る
行間の宇宙
2007/12/16 14:26

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
初めまして。ひろ009と申します。
TBありがとうございました。こちらからもTBさせて頂きました。

横山秀夫はお気に入り作家の一人なのですが、「ルパン〜」についての評価は微妙です。全体としてはやはりちょっと完成度が低い気がしました。ただ、細部についてはなかなか良い点も多かったと思います。今楽しみにしているのは、雑誌連載で始まっているという「第三の時効」の続編(にあたるもの)です。
ひろ009
2006/05/11 12:37
ひろ009さん、こちらからTBさせていただいたのに、参考ブログにあげていただいて光栄です。
今では横山秀夫は好きな作家のひとりですが、実は、最初に手に取った「半落ち」を読んだときは、何となく中途半端に感じたものです。しかし、いろいろな作品を読み進むに従って、一人一人の登場人物をていねいに作り上げていく姿勢が好きになりました。
この作品で3億円事件をからめたのは、確かに無理があるかも。でも、登場人物の魅力に高得点をあげたいと思いました。
また、コメントしに来てください。
本の虫
2006/05/13 12:55
こんにちは。丁寧なレス&私のブログへのコメントありがとうございました。「クライマーズ・ハイ」についてもコメントへのレスの形で少し書きましたので、またお越しください。今後ともよろしくお願い致します。
ひろ009
2006/05/13 18:06

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