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help リーダーに追加 RSS 重松清「愛妻日記」(講談社)

<<   作成日時 : 2007/06/25 20:36   >>

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 重松清「愛妻日記」(講談社)を読了。怪作と言っていいだろう。家族や友達との関係を描いて社会派の印象が強い著者のものとは思えない意外な作品集だ。

 苦労して手に入れたマンション。その部屋が撮影場所に使われたアダルトビデオを見たことをきっかけに、セックスで身体と心が解放されていく結婚3年目の夫婦を描いた「ホワイトルーム」。
 中学受験を控えた一人息子が塾の夏期特訓合宿へ。久しぶりに2人きりで帰省し、実家の両親がかつてセックスをくり返した部屋で、ふるさとの畑の中で、野山で奔放にふるまう40歳の夫婦を描いた「童心」。
 会社の忘年会のビンゴゲームでおもちゃの手錠が当たった夫。「もっと早く、辱めてあげればよかった」。悪戯心からはじまった「SMプレイ」にはまり込んでいく
30代の夫婦を描いた「愛妻日記」。
 夫が持ち帰ったショートピースによって、妻が13歳のときに受けたいまわしい事件の記憶がよみがえる。悪夢から愛する妻を取り戻すため意外な行動に出る夫と10歳年下の妻とを描いた「煙が目にしみる」。
 2人の子どもを産み、「怖い生き物」になってしまった妻の体。一方の夫も、髪が薄くなり筋肉は落ちビール腹に。互いの体に欲情できなくなった結果、それぞれが性具で要望を充たす夫婦を描いた「饗宴」。
 「もっと汚れよう・・・そうすれば、許せるから・・・」。処女で結婚した妻の裏切りを許せない夫は、輪姦プレイに妻を供する。8人のペニスによだれを垂らす妻とその姿に激しい快感を覚える夫を描いた「ソースの小壜」。

 ここに収められているのは、セックス・パートナーとしての夫婦の姿を描いた6編の物語である。

 愛情だの信頼だの尊敬だのは、あとから付けた理屈だ。夫婦の根っこにあるのは、セックスのパートナー。ただそれだけのことで、だからこそ、たいがいの夫婦は同じ部屋で眠るのだ。(『童心』より)

 私たちは夫婦なのだ。親にも見せたことのない性器をさらし合い、いつか生まれるはずの私たちの子どもにも見せないだろう尻の穴をさらし合って、これから、長い人生を二人でともに生きていくのだ。(『煙が目にしみる』より)

 重松氏はなぜこうした小説を書いたのだろう。セックスレス社会へのアイロニー、あるいは現代の危なげなセックスへの警鐘なのか。

 もちろん、「サザエさん」のようにほのぼのと暮らし、子どもを育てるだけが夫婦ではない。当然、夫婦の間にはセックスが介在し、そればかりではなく重要なコミュニケーションの手段であるはずだ。その意味からすれば、むしろ、夫婦間以外のセックスばかりが喧伝され、文芸作品でも取り上げられる現状に異議を唱えた作品集なのかもしれない。

 しかし、夫婦の「性」と「愛」の姿を描いたと言うには生々しすぎるし、ときに「愛」を疑わせるようなストーリー展開もある。それらも含めて、セックスを中心に据えた夫婦の物語をつむいだということなのだろうか。

 無理して結論がましいことを言うのはやめよう。 ただ、男の視点だけから描かれているこの小説への女性の感想を聞きたい。そうでなければ、この小説への評価はできないような気がする。

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