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週刊朝日特別取材班「悪党と政治屋」(朝日新聞社)を読了。副題は「ドキュメントKSD疑獄を追い詰めた400日」。週刊朝日のスクープ記事をきっかけに発覚した疑獄事件に関する週刊朝日の記事とその疑惑を追及した記者の動きをまとめた本である。この本を読むと、改めてマスコミにおける週刊誌の位置づけというか、役割について考えさせられる。 この本を読んで、まず、果たして週刊誌以外の媒体でこの疑惑を取り上げることができただろうか、という問いが浮かぶ。 また、週刊朝日特別取材班といっても当初はふたり、検察庁による捜査が始まり司直の手による追求が本格化した時点でも3人という小所帯なのだが、2人や3人で調べて分かることがなぜこれまで追求されてこなかったという疑問もある。 要は、KSD(財団法人ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団)内部である程度の地位にある人間も、監督官庁である労働省も、おそらくは重々承知していながら、みんなが口を閉ざしていた、あるいは閉ざさざるを得なかった、というところにいちばんの問題があるのではなかろうか。 そうしたことを踏まえた上で週刊誌の役割を改めて考えてみると、新聞のように事実だけが報道されている(と思われている)媒体や、その開設に総務省の許可が必要な放送媒体では、こうした「疑惑」の段階で積極的に報道することが難しいのかもしれない。 それにしても、KSD事件の中身を見てみると、あ然とせざるを得ない。財団のカネを使った私邸の建設やお気に入りの女性歌手の何万枚ものCD購入、果ては親族を関連企業の役員に送り込むなどの理事長による財団の私物化はもとより、財団運営を有利に運ぶための法令の改正や国から多額の補助金を引き出すための政界工作など、不正のオンパレードである。 この本では、1991年から1998年までの8年間で19億円ものカネが政界に流れ込んだとしているが、その手法は自民党員をねつ造し、その党費をKSDの関連団体が払い込むというものだ。自民党員は120万人以上いるらしいが、それにしても財団とつながりの深い議員の選挙のときだけ、急に4万人もの党員が増えるという不思議に党本部は気づかなかったのだろうか。 そうした体系的ではないにせよ、「疑惑」の糸口をつかみ食らいついていく週刊誌の役割はみんなが感じている以上に実は大きいのではないだろうか。 本の末尾で、連載20弾を迎えた際、同僚の「いつ頃から筋が見えていたのか疑問だったんですよ」との問いに、答えがなかなか見つからなかった取材班のリーダー、山本記者の姿が描かれているのが象徴的である。 |
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本の虫 2008/01/04 08:23 |
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