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重松清「なぎさの媚薬」(小学館)を読了。都市伝説のように語られる娼婦・なぎさ。なぎさを買った男たちはみな、媚薬を飲まされ深い眠りに落ち、夢を見る。夢の中で、男たちは少年に帰り、その当時想いを抱いていた女性とセックスするのだ。そのころは妄想を頭に描き、自分を慰めるしかなかった相手と。 週刊ポストに連載されていたことを考えると、読者にとって相当に都合のいい展開が予想されるが、さにあらず。もちろん性描写は細やかで興奮をかき立てるのだが、それだけの小説に終わっていない。 また、男女の情交を真正面から扱っているという点では、「愛妻日記」と同じだ。しかし、夫婦の間に横たわる「セックス」を、善悪という視点ではなく、否も応もなしに存在せざるを得ないもの、と突きはなすように描いていた「愛妻日記」とは異なる。 この小説では、セックスを肯定すべきもの、すなわち「善」であるとしているのだ。愛あるセックスは、女性に自分をいたわる気持ちを与え、寂しい女性のすき間を埋めてくれるものであると。 たとえば、43歳の敦夫の場合はこうだ。「夢の中」で、初恋の相手である同級生が処女のまま大学に合格し、浮ついた気持ちの中で輪姦されてしまう「現実」を見せられる。彼は高校生の自分に戻り、無事、初恋の相手とのセックスを果たすことで彼女を救い、「今の世界」で彼女が幸せに暮らしていることを確認する。 敦夫は、彼女が破瓜を迎えたあとに問いかける。 「気持ちよくなかった?」 「よくわからないけど・・・・・・でも、すごく幸せだった」 研介の場合、相手の女性はこう語る。 「もっと大きな、深い、快感じゃなくて幸せが、あるの・・・・・・ぽっかり空いた穴が埋まって、それでやっと満たされるのよ」 夢の中で見せられた「現実」が本当の「現実」であることも明らかにされていないので、男たちが自分に都合のいい「現実」を媚薬の力で作りあげたとも受け取れる物語になっている。 男性週刊誌に連載された直木賞作家の余技と感じられないこともないが、夢から覚めた男性を待ち受ける「現実」の厳しさは変わらず、夢の中の功績でも救われることはないという設定を考えると、作者から読者へのメッセージが込められている作品だと思いたい。 あなたのセックスは彼を、彼女を幸せにしていますか? |
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またまた、1月の読書
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本の虫 2008/02/01 10:55 |
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