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ボリス・アクーニン「リヴァイアサン号殺人事件」(岩波書店)を読了。「欠けているものは何もない 優雅なグランド・ミステリー」。表紙カバーの折り返しにある高村薫氏のこのコメントをはじめ、絶賛する書評が紙面をにぎわしているが、言われているほどの魅力を感じることはできなかった。 ときは19世紀末、パリで大量殺人事件が起きる。インド史に造詣が深く、コレクターとしても知られるリトルビー卿とその使用人9名が一度に殺害されてしまったのだ。 卿が握りしめていたクジラをかたどった金の記章から、犯人はイギリスからインドへ向かう豪華客船・リヴァイアサン号の乗船客か乗組員であることが推測される。 その後は、船内のサロンでの会話やモノローグを中心にひたすらフーダニット(Who done it?)が展開されるのだが、次第に、インドの伝説の小国に存在した莫大な財宝をめぐる事件であることが分かりはじめる。 何がつまらないかというと、これだけ引っ張って引っ張って、最後に犯人を特定する決め手となったのが肌の色だったという点である。目隠しをしたままで女性の服の色を言い当ててしまう超人的な洞察力、観察力を持つ主人公・ファンドーリンにしてこの結末はいかがなものだろうか。 推理小説としてだけではなく、19世紀末の時代の薫りや優雅な会話も楽しめばよいのだろうが、翻訳ものの悲しさゆえそれもかなわなかった。高村氏のコメントが皮肉に感じられてしまう読後感だった。 |
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